野球、映画、高級服、早い車にウイスキー、それとブログ

好きなものについて淡々と語ります。ブログタイトルはジョニーデップ主演『パブリックエネミーズ』のセリフからです。どれも好きだけどね

カネカネっていうんじゃねぇよガキの癖によオォン!?『マネーショート 世紀の大逆転』

かつて投資信託を始めようとして、結局断念した過去のある俺ですが、今となってはやらなくてよかったなぁと思っています。まぁ断念した理由はNISA口座を作るのがダルかったというなんとも意識の低い理由なのですが。
そんな金融に関してズブの素人である俺が世界金融史上の大事件サブプライムローン崩壊、リーマンショックをコミカルに描いた作品『マネーショート 世紀の大逆転』観てきました。

 

f:id:hwitarbm60141967:20160307214336j:plain


2005年のアメリカ。金融トレーダーのマイケル(クリスチャン・ベイル)は、サブプライムローンの危機を指摘するもウォール街では一笑を買ってしまい、 「クレジット・デフォルト・スワップ」という金融取引で出し抜いてやろうと考える。同じころ、銀行家ジャレド(ライアン・ゴズリング)がマイケルの戦略を 知り、ヘッジファンドマネージャーのマーク(スティーヴ・カレル)、伝説の銀行家ベン(ブラッド・ピット)らを巻き込み……。

 

 


豪華俳優陣に加え、脚本・監督が『アントマン』(脚本)でノリに乗っているアダム・マッケイということで非常に注目されている本作ですが、俺の評価を一言で言うと「映画としての面白さはさほどではないが、作られる意義があるし大好きな一本」というところです!
映画としておもしろくないと書いたのは物語が4者の視点(変人投資家、切れ者銀行家、石頭ヘッジファンドマネージャー、トレーダーワナビー)で語られる割にはそれぞれが個々に動いていてあんまり交錯する感じじゃないから、カタルシスが得られるわけでもないし、誰に感情移入していいかわからないからだと思います。その点で同じ原作者の作品の映画化である『マネーボール』に映画としての面白さで劣ると感じた次第です。
かといって映画としての面白さ、言い換えるとエンタメ的要素で劣るからといって評価が下がるかと言えば全くそんなことはありません。むしろ俺個人としては面白さを重視しないからこそ評価が上がったと思ったくらいです。
まず、この映画はおもしろくしようと思えばもっと面白くできたと思うんですよね。例えば主役格の4人のうち誰かの視点に絞って描いて、個人の内面描写を増やすとかすれば共感を誘う形にできたでしょう。
なのにそれをしなかったのは何故か?
理由は2つあると考えました。

 

①主人公は金融システム

この映画を観ると一応の主演はクリスチャン・ベールであり、主役は変人投資家のように思えます。しかし、終了後「視点もバラバラだし、一体この映画の主役は誰なのかしらん」という疑問が湧きました。
スタバで紅茶を飲みながら考えた結果、この映画の主役は金融システムそのものであり、人間はみなその周りを飛び回る飛末かシステムを動かす歯車に過ぎないのだという結論に達しました。
どういうことかというと、主人公達は皆¨たまたま情報を得ていたために世間とは逆の選択をした¨だけで、基本的にシステムに沿った選択をしただけということです。システムの行動原理は資産を増やすことであり、主人公たちの動機も結局はそれに終始します。
唯一の例外がスティーブ・カレル演じるマークですが、その葛藤も10分やそこらで、最終的にシステムにおける合理的な判断に流されてしまいます。
そういった点で絶対的主人公の不在により、普通の映画で描けなかったであろう部分が描けていた点が個人的に評価できると思いました。

 

②倫理的観点

この映画の主役を絞らなかったもうひとつの理由として考えられるのが、製作者の倫理的価値観からだと思いました。
『物事は近くで見ると悲劇。遠くで見ると喜劇』というようにサブプライムローン崩壊でさえ、描き方によってどうとでもなります。
例えば俺が監督で本作を映画化しろ! と言われれば「リーマンショックに隠された衝撃の実話! 変人と呼ばれながらも己の考えを貫いた男の感動の物語!」みたいな内容にしたかもしれません。映画監督の夢を諦めて正解でしたね(白目)。
要するにこの物語を巨万の富を築いた男のサクセスストーリーになるのをよしとしなかったために、主役不在の物語として描いたのだと考えられます。


そして、エンタメ性をあえて薄くしたと思われるもうひとつの理由が教育的要素だと思いました。
場違いと言えるノリノリ感といい、不自然な説明セリフといい、うまく言えないですが、学研とかベネッセが出してる『マンガでわかる〇〇』の超クオリティ高い映像化みたいな感じなんですよね。
なんなら大学の経済学かなんかの授業のオリエンテーションで流れてもおかしくないレベルで解説があるのに、それでいて観ている人を退屈させないというこれはこれで非常にバランスのとれた作品だと思います。
そこを行くと、日本公開キャッチコピーの「これがリーマンショックの真実だ!」っての、どうかと思いますね。
映画の冒頭で現れる「最も恐ろしいのは知らないことではなく、知らないのに知っているように振る舞うことだ」という偉人の名言を踏まえると、この映画を観てリーマンショックを理解した気になってしまうのも考え物ですよね。
まぁ、少なくともリーマンショックなど興味を持つきっかけになる作品ではありますよね。
この部分ひとつとっても少なくとも観て損がない作品であるのは間違いないかと思います。観ようか迷っている人がいれば是非是非ご覧ください。

 

PS:どうでもいい後書き

上で『マンガでわかる〇〇』をクオリティ高くした感じと言いましたが、学研で出す『マンガでわかる』シリーズって当たり外れけっこうありますよね。
俺が一番好きだった学研マンガシリーズは『目のひみつ』でしたが、作者は『スーパーマリオくん』の沢田ユキオ先生でした。
やっぱり知育漫画でも、いい漫画家にお願いした方が頭に入るんじゃないでしょうか。
昔、従兄弟と『BLEACH』の久保帯人先生に原作をつければ絶対に面白い漫画が出来るという話をしたことがありますが、久保帯人先生が『マンガでわかる〇〇』を書いてくれれば絶対におもしろいものができると思います。
出版社さんは是非是非ご検討ください。

久保帯人先生の画像を貼ろうと思って探したら、関係ないホモビ俳優の画像しか出てきませんでした……
ここはどこぞの淫夢系イラストブログではなく、健全な映画感想ブログですので画像は貼れませんが、読者の皆さんが勘違いしないように絵を描いておきますね。

 

f:id:hwitarbm60141967:20160307214716j:plain


この人は久保帯人先生とは関係ないサーフ系ボディビルダーです! 間違えないでください!

 

 

 


と、雑な感じでブログの宣伝をしたところで唐突に完!!
当ブログのほか、『にジョジョの奇妙なブログ』もよろしくね!