野球、映画、高級服、早い車にウイスキー、それとブログ

好きなものについて淡々と語ります。ブログタイトルはジョニーデップ主演『パブリックエネミーズ』のセリフからです。どれも好きだけどね

殺したのは、運命に巣食う亡霊「007 スペクター」(ネタバレ)

やっとシネマイレージに登録したにじょじょでございます。

映画を観る時はいつも車で1時間ほどの距離にあるTOHOシネマズに行っているわけですが、1年ほど前から月に2,3回ほど通っているのに、面倒でシネマイレージに登録していませんでした。どんなものか調べるのも面倒だったし。
ところが、最近になってTOHOシネマズでプッシュし出して、「登録した方がお得なのかなぁ…」と思いつつ、年会費とか考えたら踏ん切りがつかなかったのですが、この度、ブログを新起動(ジェニシス)したのを機に新作映画の感想も取り上げようと思い、登録した次第であります。

カードの詳細についてはこちら。

www.tohotheater.jp

 

入会金500円、年会費300円ですし、映画なんてデートでしか行かないよ! という人も持ってて損はしないのでは?

 


よく考えたらTSUTAYAカードだって年会費とられるんだし、年会費は登録しない理由にならないよなぁ……
なんで今まで登録しなかったんだろう?
2015年だけで、少なくとも20回は行ってるはずなので、3000円は損してる計算になりますな(;´д`)トホホ…


そんなバックストーリーもありましたが、「007スペクター」2回目の観賞してきました。
やっぱり最高の名作ですわ……
観ないと間違いなく損しますよ、これは……

 

 

 


あらすじはコチラ

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少年 時代を過ごした ”スカイフォール” で焼け残った写真を受け取ったボンド (ダニエル・クレイグ)。その写真に隠された謎に迫るべく、M (レイフ・ファインズ) の制止を振り切り単独でメキシコ、ローマへと赴く。そこでボンドは殺害された悪名高い犯罪者の元妻であるルチア・スキアラ (モニカ・ベルッチ) と出逢い、悪の組織スペクターの存在をつきとめる。
その頃、ロンドンでは国家安全保障局の新しいトップ、マックス・デンビ (アンドリュー・スコット) がボンドの行動に疑問を抱き、Mが率いるMI6の存在意義を問い始めていた。ボンドは秘かにマネーペニー (ナオミ・ハリス) やQ(ベン・ウィショー)の協力を得つつ、スペクター解明のてがかりとなるかもしれないボンドの旧敵、Mr. ホワイト (イェスパー・クリステンセン) の娘マドレーヌ・スワン (レア・セドゥ) を追う。
死闘を繰り広げながらスペクターの核心部分へと迫る中、ボンドは追い求めてきた敵と自分自身の恐るべき関係を知ることになる-。

 


映画は2回観ないとまともな感想なんて書けないと考えているので、1回目は雑記、2回目観て初めて感想を書くという方針のため、今回がこのブログ初の映画感想記事になります。

ちなみに一回目鑑賞時の記事はこちら

(ネタバレなし)『007 スペクター』最高や!!!! 面白すぎた!!!!! - 野球、映画、高級服、早い車にウイスキー、それとブログ


第一回の感想記事でこんな名作を取り上げられて俺は幸せ者です。

さて、内容に入っていきましょうか。

 

全てのシーンが最高! 見どころしかない!

 

と言いたいところですが、それでは感想にならないので、なかでも特筆すべきシーンをいくつかご紹介したいと思います。
まず、掴みの死者の日のシーン。
人混みの流れに逆らって進む男。そしてそれを追っていると思しきカップル。どちらも骸骨のマスクという死者の日(メキシコ版ハロウィン兼お盆)の仮装をしている。
この時点で「あ、この人たちは重要人物だな」と思わせる作り。
カメラはカップルを追う。
そして部屋に入るとカップルの男がマスクを外す。その男こそジェームズ・ボンドだった!
それと同時に流れる007のテーマ(死者の日ver.)!


この瞬間の俺「キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!」

 

正直予想は着いてたけど、この魅せ方はほんと秀逸すぎて、この時点で「この映画は信用できる!」と思い、この映画の世界に身を任せようとなりました。

 

この瞬間の俺「もう……好きにして……♡」

 

まぁ要するにつかみは最高だったってことです。

次に、アクション的な意味で最もグッときたシーンですが、いろいろありすぎてとても絞れませんでした。
死者の日のヘリ内での格闘戦。墜落したら大惨事という緊張感、そしてボンドなら落としかねないというハラハラ(先代Mになった気分w)。
アストンマーチンジャガーの世界最速のカーチェイス。
オーストリアの雪山での大追跡。etc
どれも素晴らしく、2時間常に手に汗を握っている状態でした。

その中で、最も素晴らしかったアクションを挙げるとすればやはり列車内の格闘ですかねぇ。
アストンマーティンジャガーのカーチェイスなどを繰り広げたり、オーストリアでの今回のボンドガールであるマドレーヌ(レア・セドゥ)誘拐など執拗にボンドを追跡していたミスターヒンクスとの決戦はやはり心躍るものがありました。
レア・セドゥの素敵さはそれまでのシーンで証明されたところではありますが(ホテル『アメリカン』でのサービスショットはほんと最高!!!)、そのレア・セドゥ演じるマドレーヌとの夕食に突如乱入するミスターヒンクス! 役者は元WWEスーパースターのバティースタ(『ガーディアンズオブギャラクシー』のドラックス役の人)だとか。こんなにでかかったんだなぁ(調べてみたら身長198cm。ちなみにボンド役のダニエル・クレイグは178cm)。あっちはグルートとかがいたせいかチビマッチョに見えたから意外でしたね。
まぁそんな巨人が迫ってきたら怖いですよね。
ボンドとのバトルですが、攻撃を受けても表情ひとつ変えず、粛々とボンドを追い詰める。
先にボンドに武器を使わせたり、マドレーヌが銃で援護しなければやられていたなど、明らかに単純なタイマンではボンドより格上という表現がステキでしたね。
また、地の利を生かしてボンドが辛勝するわけですが、その散り際に初めて喋るというのもよかったですね。


そして、ドラマ的な意味でやはり語らずにいられないのが、今回の宿敵、スペクターの首領ブロフェルド(クリストフ・ヴァルツ)でしょう。

前作『スカイフォール』の敵だったシルヴァがボンドの前任の007だったということで、言うなれば「もうひとりのボンド」的なキャラだったのに対し、ブロフェルドはボンドと幼少期に出会っており、その過酷な運命を裏で操っていた「見えざる敵(=亡霊=スペクター)」でした。
冒頭のガンバレルシークエンスの後の「死者は生きている」というテロップも、死んだはずのブロフェルド、これまでにボンドと関わって死んだ人間たちが物語に再登場するという前振りだったんですね。
そう考えると、冒頭の死者の日のシーンも、なぜ死者の日なのか? 同じ人混みなのにコミケじゃだめだったのか? という疑問の答えになると思います。

ブロフェルドの出てくるシーンで特に印象に残っているのは、やはりボンドへの拷問シーンでしょう。
ボンドの脳幹に針を突き刺すシーンですが、無表情に無感動に淡々と進める様が不気味で不気味で……
やっていることも『カジノ・ロワイヤル』のチンコ攻め拷問シーンに並ぶほど、不快感が溜まるというね……
かくいう俺も1回目の鑑賞ではどうなるかハラハラしながら(できれば観たくないのに)観ていましたが、2回目ではとても正視に耐えないので、目を背けていました。
ああいう、精神的グロっていうのがどうにも苦手で。

そしてブロフェルドとの決着も賛否ありそうな決着でしたが、個人的にはアリ! でした。
爆弾の仕掛けられたMI6ビルから、マドレーヌを救出し、モーターボートで脱出したボンド。そのままヘリコプターで逃走するブロフェルドを追跡します。
そして、シティーハンターも真っ青の拳銃の狙撃でヘリコプターを墜落させます(!)。
とうとうブロフェルドを追い詰めたボンドたち。
足下に跪くブロフェルドの頭を撃つのか!? と思われたその時、「他にすることがある」と拳銃を投げ捨て、マドレーヌの元へ向かいます。そしてブロフェルドはMに逮捕されるのでした。

この映画(というよりダニエル・クレイグ版007)におけるこれまでのジェームズ・ボンドは「誰かを殺す人」だったのに対し、この瞬間にボンドは「殺さない人」に変化します。
これはどういうことかというと、ブロフェルドを殺さないという選択によってボンドは「呪われた運命から決別したこと」を意味するのではないでしょうか?
確かにブロフェルドは世界的犯罪組織の首領ですし、殺されてもおかしくない。むしろ殺しておくのが世のため人のためかもしれません。
だとしてもそれは最早ボンドの役目ではない。
この映画の終着点は「ブロフェルドを殺した! スペクター壊滅した! やったぜ!」ではなく、「誰かを殺すことでしか生きられない、愛する人はみんな死んでしまうという運命との決別」だったのです。

ちなみにラストはMI6を引退したらしきいボンドがQを訪ね、修理を頼んでいたアストンマーチン(『スカイフォール』で大破)に乗って、マドレーヌとともにどこかへ去っていきエンディングになりました。
高級スーツに身を包み、高級車に美女を乗せるボンドは一見これまでとは変わらない姿でしたが、何かが決定的に変わっていると思います。
何かというと、月並な言葉ですが、「未来を掴みとった」姿なんじゃないかと思います。
やはり、ダニエル・クレイグ版007のテーマは「運命との戦い」だったのだと感じました。
そういう文脈で考えると、このラストはやはり最高! と言わざるをえないでしょう。
死者の日のスタートからこのラストに至るまで、すべてが見せ場というとんでもない名作です。
スカイフォール』に比べてエンタメ要素が強化されているとはよく指摘されているところではありますが、それでいて路線こそ違うものの『カジノ・ロワイヤル』『慰めの報酬』『スカイフォール』と過去作のテーマを踏襲し、きっちりと文句のつけようもなく描き切っているという点で、単体の映画として名作であると同時に、ダニエル・クレイグ版007シリーズをかつてない名作として完結に漕ぎつけたという点でも非常に歴史的作品だったのではないでしょうか。

 

まぁ、そんなわけでアクション面、テーマ性ともに非常にクオリティが高く、とても面白い映画でした。
そんな難しく考えなくても普通にスパイ映画としておもしろいのは間違いありません。
特に世のメガネ男子萌えのお姉さん方にはQ(ベン・ウィショー)の大活躍を是非見ていただきたいです。消化酵素カクテルのシーンや秘密兵器と言って時計を渡して、「機能は?」と聞かれて「時間がわかる」と返すシーンは笑いました。
他にも、これまでのシリーズに比べ、ボンドのユーモアやオフビートな笑えるシーンも配置されていて、シリーズ随一の娯楽作にも仕上がっています。
ただし、前回の感想では「過去作を観ていなくても90%は楽しめる」と書きましたが、やはりせめて『スカイフォール』くらいは観た方がいいのかもしれませんね。
スカイフォール』もまごうこと無き名作なので、観て損はないと思いますよ!

というわけで、この歴史に残ること間違いなしの映画を機に、ダニエル・クレイグ版から007の世界に入門してみませんか?
絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対損はしないですよ!