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好きなものについて淡々と語ります。ブログタイトルはジョニーデップ主演『パブリックエネミーズ』のセリフからです。どれも好きだけどね

『007スペクター』を観る前に! 3分ちょっとでわかるダニエル・クレイグ版007(ネタバレあり)!


3回目の『007スペクター』関連記事を投稿するにじょじょでございます。
007ブログにしたつもりはないんだけどなぁ……

そんなわけで、今回も『007スペクター』関係の記事ですが、今回は趣向を変えて、「今まで007シリーズ観たことないんだけど……」という人に向けて、ダニエル・クレイグ版007を振り返ってみたいと思います。

なぜそんなことをするのかというと、『007スペクター』とかいう世紀の名作が劇場で観れるのに、「シリーズを見たことないから…」という程度の理由でスルーするのは実にMOTTAINAI!!!
さらに、以前「シリーズ観たことなくても絶対楽しめるよ!」と書いたものの、2度3度観るうちに初めて007を見る人が『007スペクター』を見るに当たって、「ここを押さえておけば何も知らないで観るより楽しめるのよなぁ……」と思った点がいくつかあったからです。
というわけで今回は『007スペクター』を観たいと思ってるけど、過去シリーズ(『カジノ・ロワイヤル』『慰めの報酬』『スカイフォール』)を観てる暇はないという人にも、『007スペクター』をできるだけ同じように楽しめるよう、これまでのジェームス・ボンドの戦いを振り返ってみます。
主にそれぞれの作品での出来事がどのようにスペクターで回収されたかを中心に書いていくつもりです。
テーマは「過去作を観たことない人が『007スペクター』をより楽しむために」
というわけでヨロシクっ!!!

 

 


カジノ・ロワイヤル
ダニエル・クレイグ版007の記念すべき第一作。
入門としては最適な一本。
個人的に1番好きなシーンはシリーズ恒例のガンバレルシークエンスを模したアバンタイトルからのOP。
このシーンこそボンドの初めての殺人であり、呪われた運命との戦いの始まりだった。
あらすじはこちら

 

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英国諜報部MI6のスパイである‘00’の地位に昇格したジェームズ・ボンドダニエル・クレイグ)は、最初のミッションとして国際テロ組織のネットワー クを絶つ任務を課される。テロ組織の資金源であるル・シッフルと接触を命じられたボンドは、モンテネグロのカジノでル・シッフルと高額の掛け金のポーカー 対決を開始する。


今作の敵ル・シッフルはとある組織で主に資金運用を担当している。組織の資金運用での大損を取り戻すためボンドと「カジノ・ロワイヤル」でギャンブル勝負をすることになる。
また、ボンドが唯一、心から愛した女性ヴェスパーも登場する。
しかし、ヴェスパーはル・シッフルに金を預けた組織のスパイだった。ル・シッフルのチンコ攻めに苦しむボンドを救うためとはいえ、愛するボンドを裏切る結果になったヴェスパーは罪の意識から自ら命を絶つ。
その後ボンドはヴェスパーは恋人を人質に取られ、強制的にスパイをやらされていたことを知る。
ボンドはヴェスパーを利用していた組織を知るホワイトの元へ単身乗り込み、彼の足を狙撃し、追い詰める。
ここでお馴染みの自己紹介「ボンド。ジェームズ・ボンドを披露するのだった。
ガンバレル・シークエンスに始まり、お馴染みの自己紹介で締めるという、007のエピソード1としては最高の作品となった『カジノ・ロワイヤル』。これに続くのが、ショーン・コネリー版から続くシリーズとしても史上初の完全続編『慰めの報酬』である。

 

 


慰めの報酬

ヴェスパーの死の謎、Mとの関係の掘り下げなど、前作の伏線を回収し、『スカイフォール』『スペクター』への伏線をばら撒く第二作。

 


あらすじはこちら

 

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愛する人を失ったジェームズ・ボンドダニエル・クレイグ)は、彼女を操っていたミスター・ホワイト(イェスパー・クリステンセン)を追及するうち、新たな悪の組織の陰謀を知る。それは謎の組織の非情な男、ドミニク・グリーン(マチュー・アマルリック)が南米のある政府の転覆と同地の天然資源を手にして、 世界を支配しようとするものだった。


カジノ・ロワイヤル』のラストで戦いの裏側とヴェスパーの死の謎を知る男ホワイトを確保したボンド。
敵の追跡を逃れ、基地での尋問を行うボンドだったが、敵の組織はすでにMI6内部にまで潜り込んでいた。
ホワイトにはまんまと逃げられるもののヴェスパーを操り、死に至らしめた組織の名が「クァンタム」であることを知り、また残された手がかりからハイチに「クァンタム」に繋がる手がかりがあることを知ったボンドはハイチへ飛ぶ。
そこでボンドが出会ったのは資源の独占を目論む「クァンタム」のドミニク・グリーンと独裁者、そしてその二人に恨みを持つ美女カミーユだった。
MI6のライセンスを停止されたボンドは『カジノ・ロワイヤル』で共に戦ったマティスの協力を得て、ドミニクとの接触に成功するが、その後マティスはドミニクと『クァンタム』によって暗殺されてしまう。さらにボンドはその濡れ衣を着せられ追われる身になってしまう。

前作の謎を一部明かしつつも、完全には判明しないもやもやの残る作品。この作風自体が物事の善悪を判別しづらいスパイの世界、ひいては現代の社会構造を表現しているとも言える。
MI6内部にまで手を伸ばし、CIAとのパイプまで持つ「クァンタム」。英米両国が「クァンタム」との戦いを放棄しようとする中、(スパイとしてどうかと思うが)誰よりも裏表のないボンドだけが徹底してヴェスパーの死の謎を突き止めるため、マティスの復讐のため「クァンタム」と対峙する。
ボンドは「クァンタム」との戦いの中、やむを得ずイギリス首相直属の護衛を殺害してしまう。
孤独な戦いを強いられるボンド。
CIAがボンドを逮捕にやって来る中、Mは部下にライセンスを剥奪されたはずのボンドをバックアップするよう命令する。CIAはどうするのか? と問う部下に対してMは「CIAが何よ! 彼は私の部下よ!」と返すのだった。
Mとボンドの信頼関係がもっとも掘り下げられた場面で、非常に印象に残った。
次回作『スカイフォール』では、このMとボンドの信頼がキーとなるのだが、それはまた別のお話。
M、そして『カジノ・ロワイヤル』でともに戦ったCIAのフェリックスの協力を受け、ドミニクの居所を突き止めたボンドはカミーユとともにマティスの復讐に乗り込むのだった。

この物語のラストはふたつの余韻を残す。
カジノ・ロワイヤル』でヴェスパーは恋人を人質に取られ、操られていたが、『慰めの報酬』のラストではその恋人は実は『クァンタム』の工作員で、女性の政府関係者をハニートラップにかけることが仕事だった。カナダの政府関係者を騙しているところにボンドが待ち受けていて、その恋人を拘束するのだった。
ここで重要なのはその場で『クァンタム』の工作員を殺害せず、MI6に引き渡したことである。それまでのボンドならその場で射殺していたところを敢えて拘束するにとどまった。
ヴェスパーのペンダントを雪の上に投げ捨て、お馴染みのガンバレルシークエンスで締め、エンディングになった。
ここでのガンバレルシークエンスはヴェスパーの恨みを振り切り、感情に左右されないプロのスパイとしての007として覚醒したことを表している。この時こそ、ジェームズ・ボンドが俺たちの知る007に覚醒した瞬間なのである。これがひとつの余韻である。
第二の余韻は非常に不穏なものだった。ドミニクとの激闘の末、ボンドはドミニクを砂漠の真ん中へ置き去りにする。ガソリン漬けの死体にされたフィールズ(ライセンスを停止されたボンドの監視役として派遣された女性)の復讐の意味も込め、「喉が乾いたら飲め」と言ってガソリン缶だけ渡し砂漠に放置したのだ。しかし、Mからドミニクが頭部に2発の銃弾を打ち込まれたドミニクの死体が発見されたことを告げられる。
つまり、わざわざドミニクを探し出し、銃殺した人間がいるということだ。結局、逃亡したホワイトの行方もわからず、『クァンタム』の全貌もつかめないまま映画は幕を閉じる。この不穏な余韻が『スペクター』で活きてくるのだが、それはまた別のお話。


スカイフォール

先に述べた通り、Mとボンドの信頼関係が鍵になる作品。
その敵がボンドの先代の007を務め、ボンドと同じくMに切り捨てられたシルヴァというのも注目ポイント。また、シルヴァは唯一直接的にスペクターに関係していない悪役でもある(間接的に接触があった)。
『スペクター』は言うなれば『スカイフォール』の直接の続編と言える。スカイフォールとはボンド生誕の地にして、決戦の場だが、ここで見つかった写真からボンドの出生とスペクターとの因縁が判明するのである。そういった意味では『スペクター』を見るに当たって最も優先順位の高い作品でもある。

あらすじはこちら

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MI6のエージェントのジェームズ・ボンドダニエル・クレイグ)は、NATOの諜報(ちょうほう)部員の情報が記録されているハードドライブを強奪した 敵のアジトを特定し、トルコのイスタンブールに降り立つ。その組織をあと少しのところまで追い詰めるも、同僚のロンソンが傷を負ってしまう。上司の M(ジュディ・デンチ)からは、敵の追跡を最優先にとの指令が入り、後から駆け付けたアシスタントエージェントのイヴ(ナオミ・ハリス)と共に、敵を追跡するボンドだったが……。


この作品で最も語るべきポイントはMの死と、MI6新体制(ショーン・コネリー版007とほぼ同じ体制)の確立だろう。
Q、マネーペニー、そして男性Mの登場に、MI6オフィスの移転により、ここから第一作(『ドクターノオ』)に繋がると言われても納得できるようなラストだった。
カジノ・ロワイヤル』『慰めの報酬』が俺たちのイメージするボンド像が確立するまでの物語だったとすれば、スカイフォール』はボンドを取り巻く環境が完成するまでの物語だった。

スカイフォール』が007シリーズでも異色である点はふたつある。
まず、ひとつめはMがボンドガールを務めている点である。もちろんサービスシーンはない。
慰めの報酬』でボンドとMの信頼関係は描かれたわけであるが、Mがどのような人間かというと部下を信頼しつつもいざとなれば部下の犠牲も厭わないという側面がある。それが良い結果を導くこともあれば、その逆もありうる。
Mに裏切られた先代007のシルヴァはMへの復讐の道を選び、アバンタイトルでMに切り捨てられたボンドはそのシルヴァからMを守る。
この作品は一言で言えば、かつて同じ女性に切り捨てられたふたりの007がその女性を巡って争う物語である。
もうふたつめはボンドの幼少期に迫っている点である。
ダニエル・クレイグ以前007はどれも成熟した大人のボンドの活躍を描いていたのに対し、ダニエル・クレイグのシリーズでは一貫してボンドの成長を描いている。
カジノ・ロワイヤル』『慰めの報酬』で個人としてのボンドはある程度描き切った部分はあったが、『スカイフォール』『スペクター』ではボンドの出生、幼少期が掘り下げられる。
先に述べたとおり、スカイフォールとはボンドの生誕の地であるが、そこでの思い出は決して良かったとは言えない。
ボンドはMI6の復帰テストで単語から連想するものを答えるという精神診断を受ける。「スカイフォール」と聞かれたときのボンドの反応は尋常ではなかった(ちなみに「M」に対しては「クソババア」だった)。
ボンドがなぜその記憶を心の奥に封印したのか? その疑問は『スペクター』で明かされるのだがそれは別のお話。


さて、いかがだったでしょうか?
カジノ・ロワイヤル』『慰めの報酬』『スカイフォール』で残された謎の中で『スペクター』で明かされるものについてはここで大体網羅できたと思います。
もちろん事前に3作を観てもらうのが一番だが、公開から時間が経ってしまっている今から観ようとしてもその間に公開が終わってしまっているかもしれません。
賛否両論ある『スペクター』であるが、エンタメ作品としてはやはり超一流であるのは間違いない。
とにかく一度映画館で観ていただきたいと思います。
いろいろな感想を観ればわかる通り、残念な部分もないではないが、全く楽しめなかったということはありえないはず。

とにかく一度映画館で観ること!
話はそれからだ!